**アールデコの邸宅美術館**
2015年 08月 13日
7月の終わりになりますが。。。
友人と白金にある東京都庭園美術館に行きました。
数年間、修復工事のため、休館していましたが
昨年秋からリニュアルされました。
此方の建物は、
旧朝香宮邸宅で重要文化財です。
朝香宮家は、久邇宮朝彦親王の第八王子鳩彦王(やすひこ)が1906年に創設した宮家です。
軍人として欧州留学中、フランスで交通事故に遭い、
長期療養を余儀なくされたときに
夫人允子妃も駆けつけ
夫妻は2年間パリで過ごすことになりました。
その間、1925年パリで開催された「アールデコ博覧会」に強い影響を受け
アールデコ様式を取り入れた邸宅建築の計画立てられました。
主な部屋の内装設計は、フランスの装飾美術家
アンリ・ラパンが起用されて
1933年に竣工され、1947年まで
ここに住まわれたのです。
1947年以降1954年まで吉田茂外相、首相公邸として使用され
1955年から赤坂迎賓館が改装されるまで迎賓館としての役割を果たし
1981年東京都が所有
1983年以降、庭園美術館として一般公開され
2015年国の重要文化財に指定されました。
(東京庭園美術館 冊子より抜粋)
玄関ホール前のガラスのレリーフの扉は
フランスのルネ・ラリックの作品です
アールの柱越しに
白金の森の緑が映えます。
香水塔
香水塔は、アンリ・ラパンが設計し
自身が監督を務めていたフランス国立セーヴル製陶所で製作されたものです。
上部の照明部分に香水を施し
その熱で香り漂わせて使われていたそうです。
大客室
朝香宮邸の建物の中でもっともアールデコの枠が集められているのが
大客室と大食堂です。
壁面の上部に描かれた壁画は、アンリ・ラパンによるもの
ルネ・ラリック制作のシャンデリア
マックス・アングラン制作のエッチンググラス
ラジエーターカバー
大客室は、幾何学的にデザインされた花のモチーフが中心になっています。
大食堂
主に客のもてなしに使われました。
暖炉の上の壁画は、アンリ・ラパン制作
ラジエーターカバーも
食堂なのでモチーフが魚や貝などになっています。
(宮内省内匠寮デザイン)
植物紋様の壁面はレオン・ブランショが手がけました。
2階へ。。。
階段のステップ、腰壁、手摺には、3種類の大理石が使われた贅沢な作りです。
2階は殿下のご家族の居室があります。
私が印象に残った場所を少しご紹介します。
とくに惹かれたのは、アールデコ様式の美しい照明です。
殿下、妃殿下、姫君などそれぞれのプライベート空間別にコーディネートされていました。
妃殿下、寝室
浴室
色鮮やかなステンドグラスのランプ
光の陰影が美しい
ご夫妻専用のベランダ
国産の大理石を使った黒と白の市松模様のタイル
モノトーンの空間がとてもモダンで惹かれました。
庭園より建物を眺めます。
円形の張り出し窓になった部分は1階の大食堂
朝香宮ご夫妻の拘りを集めた素晴らしいアールデコの邸宅です。
アールデコ様式とは
1925年フランスのパリで開催された
「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」の略称を由来とする名称です。
1925年様式とも呼ばれ
1910年代から30年代にかけてフランスを中心に
ヨーロッパを席巻した工芸・建築・絵画・ファッションなど
全ての様式に波及した装飾様式の総称をいいます。
直線と立体の知的な構成、幾何学的模様の様式が確立されていきました。
東京都庭園美術館、冊子より
一部抜粋しています。
東京都庭園美術館
東京都港区白金台5-21-9
10時~18時
毎月第二、第四水曜日 休館
祝日の場合は開館、翌日休館
7月18日~9月23日まで
『アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015 + ART DECO COLLECTORS』が開催されています。
興味のある方はぜひ訪れてみてください。